溶接時に飛散する微粒子、要するに非常に小さい金属の丸いツブツブです。簡単に書いてしまいましたが主にアーク溶接の際に母材とワイヤとの間に抵抗発熱が発生しヒューズ作用によって溶けた微量の金属が飛び散り、スパッタとなって溶接箇所近辺に飛散します。飛散したスパッタはのちにきれいに除去しなければいけないのですが、その手間が製作時間のロスになります。なので、いかにスパッタを発生させなくすることが重要となってきます。
これの原因となるヒューズ作用が起こりづらい方法として一般的なアーク起動方法とくらべ、ワイヤリトラクト・アーク起動方法を行うことによりスパッタを大幅に減らしています。下記は簡単な流れを図解。
■一般的なアーク起動方法
①正転してワイヤを母材に近づける
②通電開始
③通電による先端部抵抗発熱
④ヒューズ作用により先端部溶断、スパッタ発生
⑤アーク安定(溶接及びワイヤ正転開始)
■ワイヤリトラクト・アーク起動方法
①正転してワイヤを母材に近づける
②ワイヤを低速で母材に触れるか触れないかまで送る
③通電させる
④通電させながら低速でワイヤを逆転させる(微量のアークを発生させながら離れる)
⑤アーク安定(溶接及びワイヤ正転開始)
この方法だと抵抗がほとんど起きず、スパッタの発生が大幅に減らせます。
溶接には気を使うことがたくさんありますが、その中の一つスパッタのお話でした。
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rewrite 2022/03/24