フォトグラメトリ(Photogrammetry)とは写真測量法と言われます。複数の写真を様々なアングルより撮影し、形状、色情報、位置情報を解析し立体的な3Dモデルを作る方法です。メリットとしては3Dスキャナなどの高額機器は必要なくスマホなどで撮影した写真で、複雑形状の物などを計測することなく3Dモデルとして再現できること。デメリットは様々なアングルの多数の写真が必要なこと(100~150枚以上)と動かないもの限定であることなど。
簡単に言うとスマホで写真をバシバシ取ると3Dデータが出来てしまうっていう便利な技術です。
こんにちは、柘進工業です。今回そのフォトグラメトリを実際の現場に活用しましたので、そのご紹介です。
とあるゼネコンさんからの相談内容は、ビル屋上にある設備機器のメーターを毎日確認するのですが、確認するまでの道のりが大変すぎるので、なんとか金物でメーターまでの渡り廊下を作ってくれないかとのこと。
早速現場に行って様子を確認。
配管が足元に所狭しと張り巡らされています
ここのジャングルを渡っていっているのが現状
これはかなり手強そうです。
計画としては配管上部にデッキを作りそれを支持する足を配管の隙間を縫って配置、固定していくというもの。ただし2Dのみでは決めきれないほどのごちゃごちゃな状況なので3Dモデルでの検討をしてみます。
ではまずは平面図をもとに関係する周辺の躯体や機器を簡単に起こしてみます。
別アングルからも
このグレーの床部分ですが実はほとんどの面が配管で覆われていて進入するのもままならない状態。
丁度タラップのあたりから逆に見た写真がこれになります
担当二人で笑うしかありませんでしたが、、、
とはいえ受けた仕事、まずは簡単に経路を検討
こんなものでしょうか、左側の階段から配管をまたぐデッキを渡り、タラップをくぐってデッキ終わりのメーターにたどり着く計画です。
経路をゼネコンさんに確認してみたところ大まか良いとのこと
次はこの配管たちの隙間を縫って確実にデッキを固定する必要があります。仮に足の位置を決めましたが、図面に起こされていない複雑な配管に干渉しないようにするのは至難の業
そこで今回は現地採寸は途方もない作業量になりそうなのでフォトグラメトリを利用してみました。
まずは必要な周辺の写真を様々な角度から撮影。それを専用ソフトで3D化させてみます。
すると、こんなものができました
一見するとなんだかわからないものですが
作成した3Dデータとマッチングさせてみると
形状的に失敗したと思われたこのフォトグラメトリで作られたモデルですが、いいです!
大物の位置関係はほぼほぼ狂いはありません。さらに測りきれなかった複数の配管情報も入ってきているので高さや、位置を確認し製作データの微調整をします。
一番不安だったこのジャングルの箇所も
なんとか隙間をねらって足を配置できそうです
上記のデータをもとに製作図面を作図し、ゼネコンさんの確認を取り承認頂きました。今回のフォトグラメトリを使用したテストケースで、今までかかっていた現場への移動する時間や採寸、検討時間などがかなり削ることが出来て無駄な動きが減ったと実感できました。今後は弊社が推進しているBIMデータとの連携もとってさらに便利かつ迅速な製作が期待できます。
そして、無事取り付けられたものがコチラです
しっかり下地が取れたので安定性のあるしっかりした渡り廊下を作ることが出来、結果的に大変お慶び頂けました。また弊社の製作のフェーズでも新しいやり方を出せたと思いましたので、とても良い経験が出来ました。これは今後も使える技術だと確認できたのでまたご紹介したいと思います。
次はiPhone12以降のPROスペックで標準装備のLiDARスキャンとの比較をしてみたいです。
ありがとうございました。それではまた