建築金物・制作金物の柘進工業
グレーチングとは(英語:grating)、鋼材を格子状に組んだ溝蓋です。素材は様々で鉄、ステンレス、FRPなどで作られています。よく見かけるものとしては道路わきや、接続部にある排水路の鉄製の格子ふたなどがそうです。建築金物業界ではこちらを通気性、可視性、透水性のある特徴から高所作業の通路やステージに良く使われます。取り外しもかのなことから様々なシーンに採用されていることが多いのです。さて日本のグレーチングの歴史は、1950年代造船に関わっていた技術者が、アメリカの軍艦のデッキにつかわれていたのを元に、独自開発したものが始まり。そもそもは船用の部品だったのですが取り扱いの良さ、丈夫さ、水はけのよさに定評があり道路、建築等で使われるようになりました。ちなみに造船をしていたのは広島県呉市に本社を置くダイクレという企業なのですが、あの「戦艦大和」用にグレーチングを造った会社でもあり、その技術を継承しています。
その頃のグレーチングは金型を作り、溶けた鉄を流し込む鋳造式でしたが、重量が重い、生産性を上げたい、などの声からアップグレード。主部材にパンチプレスで穴をあけ、補助部材を組み込んでいく組工式(ステンレスのグレーチングはこれが多い)。主部材と補助部材を電力を使って圧着していく溶接式が誕生し同時に生産メーカーも増えました。現在はほとんどが溶接式になっています。網目も道路ならほとんど問題ないのですが、歩行者が多い場所は、普通目(粗目)と呼ばれる一般的な隙間で補助部材が100mmピッチだとヒールやベビーカーの車輪がちょうど隙間に入ってしまうため細目と呼ばれる細かいピッチのグレーチングを開発したり、補助部材を50mmにしたものも開発され使い分けされているようです。また表面が濡れた場合、滑りやすいのもデメリットとしてあげられるので、ノンスリップ(滑り止め)加工されたものもさらに開発されています。
仕上の種類もいくつかありますが主はめっきになります。メインはご存じ溶融亜鉛めっき、かなりの確率で見るものは大体これになると思います。他にもリン酸処理により光沢を落とす処理をしたり、ZAMのような亜鉛、アルミ・マグネシウムの合金メッキで耐性を強くしたりも可能。形状の種類はみぞぶた用、U字溝用、ボルト固定用、開閉用などがあります。機能も跳ね上がらないようにしたり、盗難防止があったり、水はけがさらに良くなる工夫をされているもの、雪が解けやすいものなど年々進化しています。
グレーチングのよいところは水はけの面はさることながら、目的別のラインナップの豊富さ、耐候性の強さ、加工のしやすさ、などがあげられます。価格も安価であることから各ほとんどの現場に採用され続けている。現在では大判のグレーチングをスクリーン状にし、ルーバーの代わりや、腰壁、フェンスの代わりに使用したりとデザインにも一役かっている優れもの。
今回はわりとなんにでも使えるグレーチングのお話でした。
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rewrite 2022/04/27