建築金物・製作金物の柘進工業
真鍮(しんちゅう)とは銅と亜鉛を混ぜた合金で、亜鉛が20%以上のものを言い、別名黄銅(こうどう、おうどう)と呼ばれている非常に美しい金属。亜鉛の含有量が少なければ赤みが強くなり、逆に亜鉛が多ければ黄色みが強く、硬くなる性質があります。皆様が知っているもので「5円玉」はまさにそれですね。
建築金物屋では様々な金属を扱います。それぞれの特性を考え、建築資材として納めていくのですが、その中で真鍮(しんちゅう)って金属ご存じですか?製作金物はもちろん、建築、装飾の世界でも多く使われている金属の一つ。その金属を今回は紹介します。
日本では仏具にも多く使われています。燭台、りん、仏壇周りの金物なんかがそう。また吹奏楽の方々が使われる金管楽器はブラス(brass)とよばれこれも真鍮でできています。金管楽団をブラスバンドなんて言いますよね。トランペット、チューバ、ホルンやそれに加えシンバルも真鍮ですし、ピアノの中の締め具やペダル、ギター、ベースのペグも多いですね。
そんな真鍮が世の中に広まった理由はいくつかあります。その理由として
メリット
- 金色に輝いているのに金よりも安価なこと。
- 加工がしやすいので様々なシーンで使いやすいこと。
- 金属自体に殺菌作用があること。
- 経年変化が美しいこと
- 電導性の高いこと
デメリット
- 水に弱く、湿気や手垢、汗で変色やさびが起こる。
- ゴムを腐食分解させてしまう。
古くは紀元前後の古代ローマ時代から作られてきていて、とても歴史の古い合金。経年変化があり成長を楽しめる金属なので、インテリアや調度品にも使われ、家具や家と共に大事にされてきた。さびや緑青(ろくしょう)が出ることも、また風合いを楽しむことが出来て良いとされていますが、もちろん手入れをしていれば、いつまでもピカピカのきれいな金色を保つことだってできます。
真鍮はさびやすい金属でメンテナンスが非常に大事です。錆びやすいという事は人体に対しては金属アレルギー反応もおきやすいので注意が必要という事です。直接肌に触っていると汗に反応し肌はアレルギー反応が出てしまいます。具体的に、どうやってメンテナンスしたり、お手入れの方法はというと。家庭にあるものでいうとお酢やレモン、重曹などを付け柔らかい布でふき取るだけで簡単なくすみはピカピカに戻ります。黒ずみや緑青などを落とす場合は中に少しつけてから歯ブラシ等で優しくブラッシングしたり、重曹ペーストを作って揉みこむことでどんどん落ちていきます。住宅の建具等だけでなくアクセサリーなんかにもこれは使えます。分量がわからないとか加減がわからない場合5円玉で練習はありだと思います。
金ぴかの金属つながりで金メッキというものがあります。見た目は非常に似ていますが同じ時間を経過させると真鍮の方が早くくすんできます。さらに時間がたつと今度はめっきの方の下地が劣化し始め、下地からまだらになって表面に影響を及ぼします。表面は14金や18金を使うので内部からの劣化が早くなるという事です。
用途としては、製作金物、建築金物屋の世界では主に金属パネルとして登場することが多く、壁面や天井面の仕上パネル、寺社仏閣に使われる金物に多く使われます。木部の端部はそのままだと腐りやすいので、使われる金物がそうです。化粧垂木、化粧母屋、擬宝珠、屋根材にも使われわざと緑青をふかせて強度をあげたりします。無垢だけでなく、槌目やヘアラインなどの加工装飾も付きやすいので非常に美しい仕上がりになります。建築金物としても、設備系は配管、ナット、建具系は蝶番、釘、フック、ドアノブに使われたりします。金物屋としては、昔からとてもなじみのある素材の一つです。電気製品の部品としても優秀で、精密部品として通電箇所に良く使用されます。耐食性に優れ電導性が高いため重宝されています。
本日は、なじみある合金、真鍮(しんちゅう)の紹介でした。
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