◆色金(いろがね)と大根の関係

建築金物・製作金物の柘進工業

建築金物・製作金物の柘進工業

今回は合金の種類を調べていた際に気になったものをご紹介。伝統的な合金色集めてみました。下記は色金(いろがね)と呼ばれていて、主に美術品、芸術品に使われる合金。江戸時代以前から日本で発展した独自の技法で元の地金からはだいぶ色が変わるのでびっくり、変わり方はリトマス試験紙くらいの変化です。(個人の主観ですが)

 

赤銅(しゃくどう)青紫がかった黒 銅+金(3%)

烏金(うきん)青みがかった黒 銅+金(5%)

紫金(しきん)紫がかった黒 銅+金(8%)

四分一(しぶいち)灰色 銅+銀(25%)

などなど銅を中心とした合金が様々。上記は煮色仕上げというやり方で発色させるもので、100℃ほどの薬液に漬け、薄い錆の膜を貼らせ着色するのがこの伝統技法。この薬液は緑青(ろくしょう)、硫酸銅、ミョウバンを加えた水で、これを沸騰させる。温度を上げて漬け込むやり方はめっきと似ているようですが、温度が低すぎます。さらにこの技法には薬液で煮込む前に不思議な作業、特徴があり私はここに興味を持ちました。

な・ん・と・それは、大根おろしに漬ける????

たしか大根には消化酵素(ジアスターゼ)があり一緒に炊くと柔らかくなるとか、、胸やけが起きづらくなるとか・・・いや、いやこれは料理の話で、私の調べていたものは工業的な話。ちょっと意味わからないです。ここからGoogle先生を質問攻めに。。。そうすると出てくる出てくる。

大根をこすりつけるとか、

おろし汁をぬるとか、

大根おろしに漬けこみ、、

大根情報満載。

これを行うことでムラなく着色できるとのこと。しかし、科学的根拠がない、、とかが多すぎる。

どこにもその理由がないんです。通過儀礼?おまじない?いやいや、そんなものあり得ないと思っているので調べまくりました。そこでやっと出てきた文献(日本金属学会誌第69巻第12号)

東京芸術大学大学院美術研究科 北田正弘さんの実験

「伝統技法で着色したCu-4mass%Au合金(赤銅:しゃくどう)の着色層における微細構造と物理的性質」によると

”大根を使って洗浄をしたが、中性洗剤でも同様の効果があり表面活性剤的な使い方であると考えられる。”とのこと

表面活性剤、界面活性剤は表面張力をなくす効果があるので確かにムラはできにくくなり、均一に薬液が行き渡りそうです。

しかし、それを大根おろしに漬けることで、この効果があるであろうとやり続けた伝統技法、、先人はすごいですね。やり方を見つけたきっかけが知りたい。天才なの??

今回は色金(いろがね)と大根のお話でした。

煮色仕上の色変化イメージ

【関係記事】

銅の微量金属作用とは

真鍮(しんちゅう)とはどんな金属?